【脳卒中】高次脳機能障害の人の復職は元の職場がいい理由
高次脳機能障害の人の復職支援は、できるだけ前の仕事の現場に戻してください。もちろんできないことも多いと思うが、それでも「全く新しい仕事」や「新しい職場環境」よりかは動きやすくて分かりやすいです。高次脳は初めてのことや未経験の仕事を覚えるのは困難です。どうか周りの理解をお願いします
— ふるたによしひさ@教育系看護師YouTuber&ブロガー&ライバー (@yoshihisanurse) January 8, 2022
脳卒中や交通外傷などで脳に損傷を受けると、高次脳機能障害が起きることがあります。
今までできていたことができなくなると言えば分かりやすいと思います。
問題はたくさんありますが、高次脳機能障害の人が仕事復帰をするとき、困ったことが多いです。
◆ 高次脳機能障害患者の復職は「元の職場」がいい理由
高次脳機能障害は人によって千差万別です。
ある人には怒りっぽい症状が出ても、別の人には出ないことがあります。
非常に奥が深く、その分難しいのが高次脳機能障害です。
いろいろな症状があるなかで、だいたい共通していることが多いのが、
「初めてことや未経験のことを覚えるのが苦手」
ということです。
以前なら覚えて習得できていたことが、高次脳機能障害になるとなかなかできません。
なので、職場復帰するときはできるだけ「元の職場」に戻してあげて、今までの仕事の感覚の中にいるほうが本人は比較的動きやすいことがあります。
◆ 多くの人が誤解しがちな「異動」
病気になって今までできていたことができなくなったら…。
会社としては「もっと簡単な仕事」へ異動させることがよくあります。
高次脳機能障害で長期入院していて、退院後に会社に戻ると「前の職場と違う職場」に異動になっていることがあります。
これは会社としては配慮したつもりでも、本人にとっては「困惑の原因」になります。
高次脳機能障害は初めてのことや新しいことを覚えるのが苦手になります。
全員ではないにしても、比較的こういう症状が多いです。
だから、配慮して異動した「もっと簡単な仕事の部署」が、かえって「できない理由」になります。
会社としては「あれ?ずいぶん簡単な仕事を与えているのにできないのか…」と思います。
それは会社の判断が間違っている可能性を考えましょう。
◆ 周りの速度に追いつけない
職場の仲間たちは通常のスピードで仕事をこなしていますが、高次脳機能障害者はそれができません。
周りの慣れた動きについていけなくなります。
話しの速度もそうです。
相手の言葉が早すぎて聞き取れない、理解するまで時間がかかる、結局わからない、ということになります。
相手はいつもの調子で話しかけているのですが、それが高次脳機能障害者にとってはとても聞き取りと理解が困難なことなのです。
言われた言葉を理解している最中に、次々と会話を続けられるので、頭がもうパンクしてしまいます。
たとえばこんな感じです。ボクが高次脳機能障害になったとしたら…
上司:「ふるたにさん、この書類を同じ方向にきれいに綴じていってほしい」
私:この書類…、この書類…、ん?これかな…、これだよな、この書類だよな…。
上司:「綴じたらそれを棚の同じところに積んでいってほしい」
私:この書類をどうするんだっけ…?なんて言われたんだっけ…同じ…なんだっけ
私は上司から言われた言葉の最初のところで渋滞しています。
でも上司は次々と言葉をかけてきます。
私はもう追いつきません。
これが高次脳機能障害者の速度です。
もちろん人によって症状は違いますので、全員ではありませんが、こういうイメージを持たれると高次脳機能障害を理解しやすいと思います。
◆ ワーキングメモリー不足
ある情報を受け取り、一時的にメモのように頭に入れておいて後でそれを実行する。
言われたことをしばらく忘れないメモリーがあるから、人は業務を遂行できます。
たとえば、文章を読む時、文の流れを頭に入れているから文章全体が理解できます。
この一時的メモリーがワーキングメモリーです。
「ふるたにさん、今日の11時からミーテングがありますよ」
と言われて、ボクは11時にミーテングに参加する、という能力です。
レストランで店員さんに
「お水ください」
と言って、店員さんが「はい」と答え、
あとからお水を持ってきてくれる、という能力です。
これがワーキングメモリーです。
高次脳機能障害者はこのワーキングメモリーが非常に少ないと理解してください。
パソコンでいうとメモリ容量がめっちゃ少ない製品を想像してください。
動きが遅く、複数の同時画面の処理が超苦手。
高次脳機能障害者はワーキングメモリーが以前よりも少なくなっている可能性があります。
健常者ならできる一時的な記憶の保管が苦手になっています。
◆ 周りの人の理解が超重要
高次脳機能障害者は自身の変化を相手にうまく伝えることが苦手です。
こういうことで困っている、こうなっているので助けて欲しいということがうまく言えません。
自分の中で起きている困ったことを、相手に伝わるようにうまく表現することが非常に苦手です。
さきほどの会話中のメモリー不足や処理能力不足により、相手が言った言葉をちょっと考えているだけなのに、
「なんだこの人、ボーっとしている」
「人の話を全然聞いていない」
と誤解されやすいです。
本人は困惑しているだけなのに、言われた言葉を自分なりに処理しようとしているだけなのに、
相手の人は「自分の話を聞いていない」と怒りだします。
高次脳機能障害は見えない障がいですので、周りの人の理解が非常に大事です。
本人はうまく伝えられないのですから。
◆ できないにしても元の職場が動きやすい
元の職場に復帰してもできないことは多くあります。
しかし、未経験の部署に異動されるよりかはまだ動きやすいことが多いです。
今までの経験の蓄積が助けてくれることがあるからです。
元の職場だからといってできることは少なくなってしまったかもしれませんが、
本人にとってはまったく新しい仕事を覚えることより、経験がある仕事のほうがまだマシです。
仕事の再習得も比較的可能になりやすい。
その人の状況をよく見極めることが必要ですが、元の職場にあえて戻すということが救われるケースがあることを知っておきましょう。
◆ まとめ:慣れた職場が高次脳を救う
職場の上司が配慮して
「もっと簡単な仕事の部署へ異動させてあげよう」
と、新しい部署へ異動させることがあります。
しかし、「新しいことが苦手」になっているので、かえって本人は困惑しさらに「できない人」になってしまいます。
周りの人は、高次脳機能障害者をよく観察して、その人のスピードに応じた対応が求められます。
そして年単位でゆっくりと回復していることがよくありますので、根気よくじっくりと関わること。
あわてても、急かしても、本人も周りもイライラするだけです。
「高次脳機能障害者の回復はすごく時間がかかるもの」と腹を据えて、その人の職場復帰を支えていきましょう。
この本の著者自身が高次脳機能障害者です。
非常に分かりやすい内容で理解が深まります。
高次脳を理解するために必須の本といえます。
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それでは最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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この記事へのコメント
その人はぱっと見、どこに問題があるかわからないし。
もちろんここまでだと周りの不理解もあるのですが、その男性がふてくされて不平不満ばかり言っているので。
難しい問題です。
まさにおっしゃる通りです。
そうです。そうです。
高次脳機能障害は「見えない障がい」です。
その通りです。
だからこそ、周りの人間は誤解しやすいのです。
そして「感情のコントロールが難しい」ということも誤解される大きな理由です。
見えない障がいと感情のコントロールがむずかしいの2つが非常に問題です。
そして高次脳機能障害者は、自分で自分の置かれた状態を相手にわかりやすく伝えることがとても難しくなっています。
「こういう状態なのでこれが難しい」
「こうしてもらえたら、できるかもしれない」
自分の置かれた状態を客観的に分析し、相手にどうしたらいいのか提案することができません。
だから、言葉が出てこないので、頭がまとまらないので、
職場で怒られたり叱られたら、「ムスッ」とします。
高次脳機能障害者は、感情のコントロールができないのと、自分の頭の中がまとまらず言葉で説明できなくてっています。
これを周りの人間が理解して支えるのは、本当に大変で難しいですよね。
なので高次脳機能障害者は社会から居場所がなくなります。
とても現場は困っています。
なんとか解決策を探りたいです。